檀家の淺沼家の皆様から白衣(びゃくえ)をご寄贈いただきました。 白衣に無数に捺されているのは四国八十八カ所の御朱印です。襟には戦前の「樺太(からふと)豊原町大通り南四丁目 淺沼勝郎」と墨書されています。檀家の淺沼勝郎さん(1923~2021)が3歳の頃に祖母と巡ったお遍路の時のものです。
ご家族の話によると、お祖母様とお祭りに行った翌日に淺沼さんがポリオ(小児まひ)を発症。このことからお祖母様は孫の病気平癒を願って四国八十八カ所巡りを発願し、幼い淺沼さんを背負って樺太からはるか四国への旅に出られたのです。
白衣にひときわ大きく描かれているのは十四番札所の常楽寺―四国霊場唯一の衆生救済の弥勒菩薩が本尊です。海を越え、山を越えての、長い旅路。白衣姿の孫と札所、札所を経巡るお祖母様の心はじつに「孫を救いたまえ」のただ一念だったでしょう。白衣は淺沼さんの古びたカバンに、ずっと大切に仕舞われていたといいます。
淺沼さんの98年の生涯は、お祖母様の願いと共にあったに違いありません。合掌
コメント